入善町吉原にある国天然記念物「沢杉」の残る自然環境保全地区。
その名前から、杉の巨木があって水汲み場がある公園のような場所を想像して来てみたんだけど全然違った。
なにらやら森があってビジターセンターみたいな建物のあるスポットだった。「沢杉」というのは個体名じゃなくて種類名だったようだ。
取り敢えず無料のようなのでその「沢スギ自然館」に行ってみた。
漏斗の形のその自然館に入ると先ず水槽に「入善町吉原沖 海底林」と書かれた8000年前の埋没樹幹が標本として沈んでた。へー。
館内には誰もおらず、管理の人の姿も見えなかった。(水汲めるトコあるのか聞きたかったんだけど)
そして漏斗の部屋に進むと真ん中にその「沢杉」がクネーっと立ってて、その周りの螺旋階段の上が展望室になっていた。
壁にはパネルなどで杉や森や地質の解説があり、裏側には窓ガラスの下部が池を覗けるようになってて生息する魚「トミヨ」の解説があった。
え!トゲウオ科の「トミヨ」が見れるの?と屈んでじっくり覗いてみたけど、一匹も泳いでいなかった。。この季節だからかなぁ。。非常に残念。
魚は諦めて螺旋階段を登って展望室に上がってみた。
おーおー、硝子張りながら見事に360度の展望。
東側に駐車場、広い田圃を南に向くと太陽正面で良く見えない山々が霞んでた。もっと夕方だったら良く見えるのかな?
西から北には海が見える。山は遠いいけど海は間近。そして目の前に沢杉の森。
いい眺めだし、いい天気でのんびり。
んーこの森を歩こうかな、、そんなにのんびりして時間大丈夫か?とか思ったけどまだ10時過ぎ、余裕じゃない?
ってわけで、取りあえずちょこっと森を歩いてみようかと思った。
階段を下りて遊歩道の木道への出口、、は何故か閉鎖されていた。
あれ?歩けないのかな?
でも一旦外に出れば脇から木道に入れた。??立入禁止とも通行不可とも何も書かれておらず、自然館からの出入り口のトコだけ修理中なのかな?と思って歩いてみた。
木道はしっかりしてて歩きやすかった。水源の森ということで湿気もあって弱り易いんだろうけど、僕が歩いて問題ないくらいだった。
歩いてたら「沢杉」の解説があった。
根元から生えた苗木が雪で曲がってクネーっと伸びる杉だそうで、伸びた先で地面に着くとそこでも浅い根を生やして安定させるそうだ。へんな樹だなぁ。
そんなクネクネ曲がった「沢杉」が一層密林の雰囲気を醸し出してて爽やかな木漏れ日の中、ちょっとした探検気分で楽しく歩けた。
昔はここら辺はこんな森だらけだったのが開発で切り開かれて、今ではこの区画だけになってしまい、「沢杉」も此処だけにしか残ってないそうだ。それで国の天然記念物なんだね。
森の中は木道に沿って沢が流れてて、ホント海の間近だということを完全に忘れさせてくれた。
そして奥の方まで歩くとそんな沢が浅い池となってて広がっていた。
そんな池をそっと覗くと、何やら小魚が泳いでいた。
お、お、お、これはもしや「トミヨ」か?そうだ間違いない。細いし口が長いし水底に映った影もそんな形だ。ナイスナイス。歩いて来てよかった。自然館で見れなかった「トミヨ」がこんな森の奥で見れるとは思わなんだ。(でもやっぱ上からじゃなくて横からみたかったな)
「トミヨ」は「イトヨ」や「ハリヨ」と同じ巣を作って子育てするトゲウオ科の魚。名前もかわいいよね。環境の変化で激減して珍しい魚になってるけど、これで取りあえずドライブ中に三種類とも見れた。(イトヨは福井、ハリヨは滋賀で)
それぞれ間隔開けて何匹も日向ぼっこするように泳いでいた。ゆーっくり眺めて満足。
その先に進んでぐるっと周って戻ろうかと思ってたけど、池の先で木道は切れていた。?修理中?あまり樹の根を踏んで歩きたくなかったから来た道を戻った。
そして途中で枝道に折れて西側に進んでみた。
途中、沢を横切る橋では湧水の噴出口っぽいのも見れたし、その周りの柔らかそうな苔の緑もきれいだし、やっぱりクネーっと伸びる「沢杉」が面白くすごくいい雰囲気の森。木道で楽楽歩けてありがたい。
最後の方で「全国名水百選選定」の標柱があった。あ、そうだっけ、百選なんだっけ、知らなかった。。(「黒部川扇状地」の一部としてということらしい)
まぁ、水汲み場が無かったのは残念だけど、思いがけず心落ち着く素敵な森を散策できて、珍しい杉を見れて、珍しい魚まで見れて大満足の休憩になった。
やっぱ富山はいいねぇ。