鹿児島市浜町の10号鹿児島北バイパス沿いにある公園。
石橋というと大分から熊本、そして長崎あたりのイメージが強いけど、鹿児島にもあるんだ、、と気になったトコで丁度バイパスで対向車も来てなかったので咄嗟に立ち寄ってみた。
鹿児島市内には江戸時代末期に城下整備として架けられた「甲突川の五石橋」という五つの石橋があったけど、平成5年(1993)の集中豪雨でそのうちの二つが流失してしまったそうだ。そこで残る三橋を文化遺産として残そうと川から移築したのがこの公園なんだそうだ。へー。
手っ取り早く三つの橋が見れるスポットとはありがたい。
さっそく傘さして歩いた。
連休で市街の歴史的観光スポットなんか混んでるかな、、と思いきや駐車場も公園もすいててガラガラ。雨だからねぇ。
まず最初にあったのが「西田橋」
案内板もかなり細かく見やすく解説。お金かかってるねぇ。
この橋は橋長49.5m幅員6.2mの一番幅広の四連アーチ橋。弘化3年(1826)に石橋に架け替える前にも木造の橋で架かってて、欄干の青銅擬宝珠はその頃のもの使ったそうだ。
その横にあった無料の「石橋記念館」は後にして先に橋を渡ってみた。
キレイでどっしりした橋。なぜか欄干に停まった鳩も背筋のばしていい姿勢。鹿児島の鳩はりりしいなぁ、、っていうかどっかで雨宿りしなよw
この橋は移築するまで現役の市街の道だったらしい。けど、車の通行は無理だよねぇ。車で通れたなら移築する前に通ってみたかったなぁ。(1993年以前じゃまだ九州には来てなかった時期だわ)
橋を渡るとその先には立派な門があった。
これは番所でもあった「西田橋御門」橋の左岸にあった門だけど西南戦争で消失。。写真や遺構を元に、橋からの距離も忠実に復元したものだそうだ。へー。
ちょっと雨宿り。(門の下に鳩がいないのが不思議だった)
門を抜けると公園の裏には川があって橋が架かってた。この橋は普通の連絡橋。対岸の先にも公園が続いてるので渡った。
川っていうか、こっちは埋め立て地っぽいから海になるのかな。いや淡水魚のコイが泳いでたから川かな。
っていうかまたここでも浅い水位で背中を出した巨大なコイが泳いでた。(川の水面の写真だと雨の降りがわかりやすいね)
対岸側の真ん中にあったのが「高麗橋」
西田橋より細めだけど5mながいスマートな橋。渡ると石の面も平らでつなぎもきれいだった。
この橋は何度も改修され自動車にも対応させたりして原型から変わっていたそうだけど、移築時には明治時代の姿に再現したそうだ。(車で通れたのかー)
そしてこの公園は石橋だけではなく、「祇園之洲砲台跡」という台場跡でもあった。やっぱりこの目の前はもう海だったんだ。
祇園之洲砲台は薩英戦争で英国艦隊に砲撃した砲台の一つ。「たった一度の実戦」なんていう題の案内板があったけど、国内の台場で実戦を経験してるのは薩摩と長州だけなので、図らずもそういうトコに寄れて嬉しい。
この砲台の目の前で英国軍艦のレースホース号が座礁したそうだけど、この砲台も破壊されてて砲撃できず、陸戦に備えつつ曳航されて引き上げる敵艦を眺めてたそうだ。
園内には「薩英戦争記念碑」や「西南の役官軍戦没者慰霊塔」などもあり、立派な傘の開いた松の木にはなぜか名前も何もなかった。
それと「岩永三五郎之像」。
この岩永三五郎氏が全部の石橋を設計して工事を指揮した肥後の石工。なんと橋だけでなく水田開発、水道、道路、港の護岸に河川改修までやったすごい人。一族で九州各地に190以上の石橋を架けたそうで、皇居の二重橋は甥が架けたものだそうだ。すげー。(ちなみに岩永三五郎の代表作のひとつという熊本の「聖橋」って四年前に行ったトコだった!→)
そして公園の一番端にあったのが「玉江橋」
これは公園の外の10号バイパスの方に架かっていた。こっちは海だよね。なんか他の二つは公園内なのにこれだけは外に架かってて雑な感じがしたけど、ある意味現役でもあるので橋的には嬉しいかも。
この橋は五つの中で一番上流に架けられたそうで、城下町の郊外の為か建設費も格段に少なく、幅は細めで造りもやや粗末な実用橋だそうだ。
たしかに橋の上の石はボコボコでびしっと並んでおらずに間あいてる。でもこういう方が今日みたいな雨の日には滑らなさそうで歩きやすいし、石の隙間を見ると黒い灰で埋まってて桜島火山の灰の街たる鹿児島らしさを見れた。自転車とか車とかでは渡りたくないけど歩くなら一番いいかも。
そして、公園の裏の小山の上には東郷元帥の銅像があるそうだけど、そこは「多賀山公園」という別の公園なので行く気はなく引き返した。(眺めよさそうだから天気いい日じゃなきゃねぇ)
さて、最初の西田橋まで戻った。
雨は本降りながら充分濃い内容の公園で満足だったので橋の脇にある「石橋記念館」は別に行かなくてもいいかな、、と思って駐車場に向かってたけど、やっぱりトイレがてらちょこっと見てみるか、、と入館。
円形の館内メインルームは大きなガラス窓で目の前の西田橋がよく見えた。あー雨のときはこんな感じで見るだけでもいいのかなとも思えた。
あとはパネルなどの展示で石橋や鹿児島の歴史や風土を軽く解説。パーッとみてまわって、気に入ったのは安政6年の地図を元に往時の石橋の位置や城などの見所に模型を置いたジオラマ。これはかわいらしくて面白く見れた。
こんなとこかなーと帰ろうとしたら受付の女性に「一階が展示のメインになってますので宜しければ見て行ってください」と声をかけられた。この建物は公園からの入り口が二階で、建物内の螺旋の階段で一階に下るのがコースらしい。
また階段上って戻るのめんどくさいなぁ、、とか思いながらもわざわざ声かけてもらったので素直に下ってみた。
ら、
なかなかちゃんとした展示で力入っててすごかった。
とくにメインはジオラマ模型。
ジオラマが好きな僕は感激するくらいの凝った模型で、鉱山での石切から始まってい石橋ができるまでの工程を順繰りに作られた大ジオラマ。
もちろんパネルの解説や道具の展示やVTRも等身大の石を割る人形もわかりやすく面白かったけど、やっぱりジオラマだなぁ。見入っちゃった。これで無料は凄いなぁ。
一階に下りてきてよかったし、一番最後にこれが見れてよかった。橋に歩く前にこれを見てたらもう満足して雨の中歩く気がしなかったかもしれないww
二階に戻って受付に「すごく良かったです」とか声かけて出た。