白井市富塚の宅地奥にある神社。
千葉県ばかり廻っている今日この頃、県内の歴史などいろいろと興味を持てるようになり、近頃「ちば見聞録」という千葉テレビの番組の動画をよく見てたりする。
で、そのなかで「鮮魚街道」という回があって、そこで紹介されてて興味を持ったのがこの神社。
鮮魚(なま)街道というのは江戸時代に利根川から運ばれた魚を布佐で一旦陸に揚げて馬で松戸まで運んだショートカットの道。(松戸からまた船で江戸に運んだそうだ)面白いコトにGoogleマップにはその「鮮魚街道」という表記があって、この神社は若干ルートから外れているんだけど、その街道を歩く人等が途中で立ち寄った場所ではあるようだ。
ってわけで来てみた神社は、駐車場のない小さな神社。
この「鳥見神社」というのはこの手賀沼の南の地域柏市、白井市、印西市だけに点在している神社だそうで、他はわりともっと辺鄙なとこにあ(ってテキトウに車を停められ)る印象。目の前に新興住宅地ができただけではあるけど、駐車スペースくらい残してほしいもんだ。まぁよそから車で来る人はそうそういないのだろうけど。
で、そんな新興住宅地からは隠れるように木々に覆われた林のような神社で、鳥居の前にちゃんと案内板があったのは嬉しかった。
そして石の鳥居にある額面も飾りあってカッコよかった。
さっそく鳥居をくぐって、青面金剛や庚申塔の石の並ぶ参道をまずは一気に奥まで歩いた。
ふたつ目の石鳥居をくぐると神楽と社務所の奥に祠のような社殿。拝殿が無く本殿がそのまま表になってて、遠目にはパッとしないけど、近くで見るとかなり派手に彫刻飾りの施された素晴らしい本殿だった。
まずは礼して拝んで、ジックリ拝見。
この柱の龍なんかスゴイよね。惚れ惚れする。
参道口の鳥居前の案内によれば、文化9年(1812)のもので彫工は竹田重三郎だそうだ。
横の羽目板の彫刻もしっかりしてて、物語の1シーンみたいな図。裏面にまわったら婦人の乳を吸ってた!なんじゃこりゃ!
勝手に解釈すると、よその女にたのみこんで→乳を吸って→浮気がばれた本妻が怒り狂って虎になった。。ということかな?(全然違って、二十四孝という中国の親孝行話24のショートストーリの内の3つの別の話だそうだ)
これは、、ちゃんと拝めば虎に脅されずに乳が吸えるという御縁にあるつける神社なのかも!とか思ってもう一回拝もうかと思ったけど、そんなわけないだろ、、と思い直してヤメタ。
ゆっくり見てまわって満足。あとは狛犬見たり、裏の末社の浅間神社見たりしつつ参道を折り返した。
神楽の横には「長寿小林せいの碑」というのがあった。地域で生まれ育ち104歳になった女性を讃える石碑。平成19年のものだから14年前かぁ。。
中間の鳥居を出ると脇に屋根付きで歓喜天の石像があり案内板もあった。
象顔の二人が鼻を絡めて抱き合う男女和合の神像の塔で、明治8年につくられたものだそうだ。歓喜天は「ディスコミュニケーション」てマンガでよく出てたけど実物は初めて見た。神秘的なエロティックって感じだけどテレビでは「かなり無茶な願いもかなえてくれる」とか言ってた。
そこから入口への参道沿いに青面金剛や庚申塔が並んでて、一番手前が「切られ庚申」という宝永3年(1706)に作られたもの。これは映像で見て憶えてた。
これこそ元は鮮魚街道沿いに立ってた物で、魚を運ぶ鮮魚師が深夜に通行中に火の玉に襲われ刃物を揮った時に付いた刀痕だそうだ。
他にも幾つもの石碑と末社、大きな洞の開いたスタジイやサルノコシカケだらけの木などもあって、本殿の彫刻だけでもなかなかなのに色々と濃い神社。こんな宅地の奥にさりげなく隠れてるのが勿体ないような素敵で面白い神社だった。